SBI証券と東京海上アセットマネジメントは、ブロックチェーン技術を活用したセキュリティトークンにより、個人投資家向けプライベートエクイティファンド「東京海上・日本プライベートエクイティ戦略ファンドST」の販売を開始した。日本経済新聞が12日、報じた。
募集期間は2026年1月26日まで。従来は機関投資家や富裕層に限られていた未公開株投資(IPO)の機会が、最低投資額100万円から個人投資家にも開放される。償還までの約15年間は原則として解約できない長期運用商品となる。
ブロックチェーンで実現する未公開株投資の小口化
同ファンドの最大の特徴は、ブロックチェーン技術を用いたセキュリティトークンによる発行・管理体制である。デジタル証券として小口化することで、通常であれば個人投資家がアクセスできない未公開株ファンドへの投資を1口100万円から可能にした。国内におけるIPOを裏付けとしたセキュリティトークンの公募は初の試みとなる。
運用戦略は複数のファンドを組み合わせるファンド・オブ・ファンズ形式を採用している。ポートフォリオの3分の2以上をバイアウトファンドで構成し、一度上場した企業の非公開化案件や、経営再建が必要な企業を買収して価値向上後にM&Aや再上場を目指す案件に投資する。残り3分の1以下がベンチャーキャピタル(VC)ファンドとなり、創業期から成長期のスタートアップ企業への投資を行う。この配分により、リスクを抑制しつつ上場株式を上回るリターンを狙う。
東京海上アセットマネジメントのプライベートエクイティ運用チームは、約30年にわたる運用実績がある。運用資産残高は約1兆5000億円に達し、過去10年間でTOPIXを上回る運用成績となっている。同社は機関投資家の立場から優良ファンドを選定し、個人投資家に代わってゲートキーパー機能を果たす。
募集開始から3年前後で分配金の発生を見込んでいる。日々の基準価額は公表されないが、株式のPBRに相当するNAV倍率を年2回発表する予定だ。
厳格な投資家要件と知識確認試験を設定
同ファンドの購入には一定の要件が課される。投資可能年齢は18歳から70歳までで、金融資産2000万円以上の保有が条件となる。さらに株式や上場投資信託などの投資経験も必須だ。
購入希望者は商品内容や投資知識を問う試験に合格する必要がある。試験に不合格の場合、購入は認められない。特定口座の利用は可能だが、NISA(少額投資非課税制度)の対象外となる。
セキュリティトークン市場は2020年の法整備以降、急拡大を続けている。2025年7月時点で公募型ST市場の累計発行額は約1,938億円に達し、Progmat社の予測では2025年末に3,411億円超、2026年には5,000億円規模への拡大が見込まれる。これまで不動産と債権が裏付け資産の中心だったが、今回のプライベートエクイティ商品の登場により市場は新局面を迎える。
政府が2022年に策定した「スタートアップ育成5か年計画」では、2027年度までにスタートアップへの投資額を10兆円規模に拡大する目標を掲げている。2024年の実績は約7,800億円と2022年比で横ばいが続くが、税制改正や規制緩和により、未公開株投資市場のさらなる活性化が期待される。
